鈴木清子

「WebGISによる佐鳴湖の情報共有のためのシステムの開発」
 

静岡大学大学院工学研究科システム工学専攻 前田研究室所属
鈴木清子

 

 

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本研究で構築したシステム
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佐鳴湖WebGIS

1. 研究の背景と目的

現在佐鳴湖では、行政、大学、市民グループなど、各機関においてさまざまな分野でさまざまな取り組みがなされている。もし、これらの各機関における異種の情報をひとつに集約し、位置情報としてひとつの地図上で視覚的に表現するシステムを構築することができれば、システムは、行政、大学、市民グループなどシステムの利用者に対して佐鳴湖における状況を効果的に伝えることが可能になる。このシステムにより利用者は、佐鳴湖に対する理解が一層深まるものと考えられる。佐鳴湖に対する理解の促進は、佐鳴湖に対するよりよい対策につながることが期待される。そして地図化された情報をWeb上で公開することができれば、インターネットに接続するための環境とブラウザがあれば、誰でも、いつでも、どこからでも利用することができるようになる。これを可能にする手段としてWebGISが挙げられる。
本研究では、佐鳴湖におけるさまざまな情報の共有を支援することを目的とし、WebGISを佐鳴湖に適用した” 佐鳴湖WebGIS”の開発を行う。

 

2. 研究方法

はじめに、本研究で扱うWebGISについて説明する。WebGISとは、インターネットを介したGISのことである。インターネットに接続するための環境とブラウザがあれば、専用のソフトウェアをインストールすることなく、Webサイトを見る要領で誰でもGISを利用することができるシステムである。
GIS(Geographical Information Systems:地理情報システム)とは、位置や空間に関する様々な情報を、コンピュータを用いて重ね合わせ、表示、編集を行ったり、分析、解析を行ったりするシステムである。

次にWebGISを用いた研究の流れについて説明する。本研究では、WebGISを用いて行政、大学、市民グループ等各機関で行われている佐鳴湖に関する情報の共有を支援するシステムを構築する。情報共有支援のためには、情報を共有する利用者にとって利用価値の高いシステムを構築することが重要である。このため、プロトタイピングによるWebGIS システムの開発を行う。
まず、佐鳴湖WebGISの仕様を作成する。次に、佐鳴湖WebGISのプロトタイプを設計、構築する。本研究ではESRI社製のGISソフトウェア、ArcGIS製品を用いて佐鳴湖WebGISの初期システムを構築する。そして、この佐鳴湖WebGIS-初期システム-を用いて行政、大学、市民グループなどの想定利用者に実際に利用してもらい、インタビューを行う。その結果をKJ法により分析し、問題点を明確化し、佐鳴湖WebGIS―初期システム―を再構築する。次に、改良した佐鳴湖WebGISの再評価を行う。再評価の結果、修正が必要であれば再度佐鳴湖WebGISを修正し改良を行う。利用者が本当に必要としている情報を載せた、利用者にとって使いやすい情報共有支援システムを開発する。

 

3. 佐鳴湖WebGIS -初期システム-
佐鳴湖WebGISの初期システムでは、佐鳴湖周辺の地図情報、2003年度土地利用情報、COD、窒素、リンなど、2003年度静岡県による水質情報などの異なる分野の研究結果を取り扱う。利用者は、これらの項目をいくつか選択し、それぞれの情報を重ね合わせ地図情報として表示することができる。また、各項目の凡例は各項目名の下に示される。初期システムのUIを図1に示す。


図1:佐鳴湖WebGIS-初期システム-の表示例
 

4. 要求分析

情報を共有する利用者にとって使いやすいシステムに開発するため、インタビュー調査を行いプロトタイプの評価を行った。インタビュー対象者を行政、学校、市民グループから二人ずつ想定利用者として選定した。
質問項目は、追加してほしい機能、データはあるか、水質などのデータ以外で必要だと思う情報は何か、操作に困難を感じた点、改善すべき点はあるか、佐鳴湖WebGISのレイアウトで改善すべき点はあるか、データの表示方法で改善すべき点はあるか、である。
インタビューで得られた評価を、KJ法により分析した。その結果、佐鳴湖WebGISに追加したいデータについて様々な要望があった。中でも、事業所のデータ、経年変化のデータ、雨水浸透ますのデータに対する要望は多く挙がった。そして佐鳴湖WebGIS以外に必要な情報についても多数要望があった。主に、佐鳴湖WebGISの説明、佐鳴湖の写真、佐鳴湖に関するリンク集の三つである。また、佐鳴湖WebGISの使いやすさや見易さに対する要望も挙がった。主に、佐鳴湖WebGISの下水道に関するエリアの拡大化・詳細化、流域界・佐鳴湖の色別表示について、選択項目窓の表示方法についての三つである。
これらの中で、佐鳴湖WebGISのデータの追加、重複する要望、ArcGISの機能の範囲内で対応できる要望、混乱させる情報の修正を優先に佐鳴湖WebGISの開発を行った。

 

5. 佐鳴湖WebGISの開発
5-1. 改良後の佐鳴湖WebGIS

まず、佐鳴湖WebGISの入り口となるTOPページ、佐鳴湖に関する機関のリンク集などを用意し、佐鳴湖の写真や紹介、佐鳴湖WebGISの使い方の説明、佐鳴湖WebGISの紹介、佐鳴湖に関する機関の紹介、佐鳴湖WebGISで扱っているデータの算出方法などを加えた。また、佐鳴湖WebGISでは、インタビューで得られた意見を参考に、選択項目を充実させた。追加したデータは、主に2003年度から2007年度までの公共用水域水質調査結果、水質汚濁防止法特定事業場、下水道整備状況、雨水浸透ます設置状況、浸透量、表層地質図、佐鳴湖流域人口、土地利用図である。さらに、佐鳴湖の位置を強調させるため、マップにさまざまな情報を表示させても佐鳴湖の色を常に一定に表示させるように修正した。流域界の色が、河川や湖沼と区別させるため表示色を修正した。下水道に関するエリアを詳細化し、また表示領域の拡大化を行った。凡例表示に関して、選択項目の凡例表示ウィンドウを作成しポップアップで凡例を表示できるように改良した。改良後のUIを図2に、選択可能項目を図3に示す。


図2:改良後の佐鳴湖WebGISの表示例
 


図3:改良後の佐鳴湖WebGISの選択可能項目一覧

5-2. 評価

改良後の佐鳴湖WebGISは、TOPページ等の佐鳴湖WebGIS以外のページ追加や、佐鳴湖WebGIS自体への様々なデータの追加を行い初期のものと比べると大きく変わった。改良を行った結果、利用者にとって使いやすいものとなったか、問題点、改良すべき点はなにかを明らかにするため、再評価を行った。インタビューの際の想定利用者を初め、佐鳴湖ネットワーク会議のメンバー、佐鳴湖に関係する学生、上下水道・水環境に関わるコンサルタント会社、地理情報・測量調査に関わるコンサルタント会社などから評価を得ることができた。また、これらの意見を参考に、塩素イオン濃度データの追加、用語集のページの作成、表記方法の修正など改良を行った。
佐鳴湖WebGISのプロトタイプに対する評価では、主に佐鳴湖WebGISに追加して欲しいデータ、佐鳴湖WebGIS以外で必要なデータについての意見が多くみられた。これに対し、改良後の佐鳴湖WebGISに対する評価では、佐鳴湖WebGISの見易さや使いやすさに対する意見が多くみられた(図4)。佐鳴湖WebGISは、情報共有を行う利用者にとって必要とするデータはおおよそ揃っており、佐鳴湖WebGISは情報共有を支援する役割を果たすと考えられる。


図4:改良前後の評価の割合
 

6. 結論

佐鳴湖WebGISを開発することで、佐鳴湖における情報共有を支援することができた。また、佐鳴湖WebGISの開発方法にプロトタイピングを取り入れることで、利用者にとって満足の高いシステムを構築することができた。今後の課題として、最新のデータの追加、新しいニーズのへ対応、データのデータベース化、利用者からの情報入力を可能にさせた双方向型の佐鳴湖WebGISの開発が必要である。

 

謝辞

本研究を進めるにあたり、終始熱心なご指導、適切なご教示を頂きました前田恭伸准教授に感謝の意を表し、ここに厚く御礼を申し上げます。また、本論文の審査におきまして貴重なお時間を割いてご指導ご助言いただきました秦中啓一教授、瀬野忠愛准教授に深く感謝いたします。また、佐鳴湖WebGISを構築するに当たりご支援、ご協力いただきました静岡県浜松土木事務所の福田達樹様、浜松市役所環境保全課の平野亜希様、瀧澤様、浜松市役所上下水道部下水道工事課の袴田真司様、静岡大学工学部の瀬野忠愛准教授、戸田三津夫准教授、富塚地区自治会連合会の高橋邦武様、入野漁業組合の杉山恵子様、浜松市立佐鳴台小学校の佐野尚也先生、株式会社日水コン河川事業部 技術第一部技術第二課の戸部達也様、株式会社フジヤマ環境文化部まちづくり課の皆様、水野隆夫様に深く感謝いたします。
最後に、様々な手助け、ご助言を頂きました静岡大学工学部前田研究室の井田国宏さん、松田和道さん、中野崇司さん、甲斐研究室の豊田純一さん、瀬野研究室の坂口敦樹さん、谷口恵亮さん、戸田研究室の阿部将浩さん、上原和也さんに厚く御礼申し上げます。

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